EPAは中性脂肪値を落とす救世主

血管・血液の健康維持に重要だと注目を集めているのがEPA。これは「エイコサペンタエン酸」の略称で、いわしやさば、あじなどの青魚に多く含まれるn-3系脂肪酸の1つです。このEPAが健康成分として注目を集めるようになったきっかけが、イヌイットの人たちを対象とした研究です。野菜をほとんど摂らないイヌイットの人たちが心筋梗塞で亡くなる確率が低いと言われています。実は、その理由の1つが、このEPAの摂取にあると考えられているのです。

EPAは体内でほとんど作り出すことができない「必須脂肪酸」の一種で、「血液をサラサラにする」「中性脂肪値値を下げる」「血管年齢を若く保つ」「心臓病・脳梗塞を防ぐ」「動脈硬化を防ぐ」などの効果があるとされています。イヌイットの人々は野菜を摂らない代わりに魚をたくさん食べているおかげで、血管や血液を健康に保つことができていると考えられるのです。

血管年齢を若く保ったり、血液をサラサラにしたりする効果が注目を集めているEPAですが、その健康効果は血液や血管だけではありません。それが、中性脂肪値を減少させる働きです。

健康診断などで最も気になるのが、メタボにも直結する脂肪です。体の中で消費されずに余った脂質は、肝臓で中性脂肪値に合成されて体内に蓄えられます。これにより、「脂質異常」「高脂血症」などを引き起こしてしまうのです。

大切なのは脂質を摂りすぎないことですが、EPAには摂りすぎた脂肪を分解して減らしてくれる働きがあると考えられています。EPAが肝臓の中で脂質から脂肪を作る働きを抑えると同時に、脂肪酸を分解。血液中の中性脂肪値も燃焼する効果が期待されているのです。

EPAには血管を若く保ったり、血液をサラサラにしたりする効果だけでなく、中性脂肪値を下げる働きがあることも分かってきました。さらに、メタボリックシンドロームの原因となる内臓脂肪も減少させる効果があることも分かってきました。

血中に含まれるEPA（魚系の油）とAA（肉系の油）量を比較したところ、EPAの比率が高い人には内臓脂肪や肥満が少ないという結果が出たのです。その理由として考えられるのが、EPAを多く摂ることによる体質の変化です。EPAが脂質の代謝に関連する遺伝子に作用し、脂肪を燃焼しやすい体質に変えることが分かってきたのです。